
最近テレビなどでよく「信託」という言葉を耳にすることが多くなりました。
もしかしたら、耳にする機会が増えたのではなく、自分が信託ということを気になっているからかもしれません。
親が高齢になり、相続の問題もそろそろ出てくるという人は、この信託についても考えなければならない時期といえるでしょう。
ここでは信託、特に民事信託についてお話しします。
相続に不安がある、専門家へ相談したいという方はこちらの記事が参考になります。
相続の相談はどこにする?弁護士・税理士・司法書士の正しい選び方
1.信託とは
信託とは、財産を持っている人(受益者)が、信頼できる人(受託者)へ行う信託行為(信頼して託すこと)です。
現金や不動産などの財産を信頼できる人に移転し、管理・処分する法律関係を指すのですが、決して専門的なやり取りではなく、私たちの生活にとても身近な制度になっているのです。
2.信託と民事信託の違い
信託は商事信託と、民事信託に分類されています。
商事信託は文字通りで、例えば受託者が報酬を得るための業務として行うもので、CMで目にする信託銀行や信託会社(内閣総理大臣から免許を受けて営業している)がそれにあたります。
それに対して、民事信託とは営利目的でない信託をいいます。
中でも、受託者を最も信頼できる親族や家族にして、財産管理を任せるものを家族信託というのです。
最近増えてきている特殊詐欺に、高齢の両親が騙されてしまうのではないか、また相続税が負担になる可能性があるのでその対策として活用したいといったときに、民事信託は心強い味方になってくれるでしょう。
3.民事信託の注意点
それならすぐに民事信託の手続きを!と思うかもしれませんが、その前に注意点についても知っておくと安心です。
特に、不動産を持っていて民事信託を行う場合に、登記登録が必要になります。
また、信託で管理している財産と自分の財産との間で取引をすることはできません。
例えば、銀行預金の場合、託された金額を自分の口座で管理することはできません。
信託の財産は別に口座を作って管理する義務が発生するわけです。いくら信託で自分が託されたといっても、それを自由に扱うことは法律で禁止されているのです。
そして、信託による財産を目録として管理し、その財産で生じた利益やかかった費用は、収支計算書を作成して保管する義務もあります。
受益者からこうした書類が見たいという希望があったときには、受託者は速やかに閲覧をさせることになっています。
4.まとめ
このように、受託者にはいくつかの義務が発生し、なおかつ受益者から管理をされるということになります。
民事信託は面倒だなと思うかもしれませんが、管理をきちんとしていれば問題ないことですので、家族で相談するといいでしょう。
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