相続放棄と言うと、借金などの負債の支払いから逃れるために選択される手段だと考える方が多いと思いますが、実際には建物や土地が相続放棄される場合もあります。
この記事では、土地の相続放棄についての基本的な知識とともに、相続放棄した土地がどのように扱われるのかを分かりやすく解説していきます。土地の相続放棄を考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
相続に不安がある、専門家へ相談したいという方はこちらの記事が参考になります。
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土地を相続放棄する理由とは?
借金などの負債と違い、土地は不動産として価値のある資産です。しかし実際に土地の相続放棄をする方は珍しくありません。
土地の相続放棄を選択する理由には、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは土地の相続放棄をする代表的な理由を紹介しましょう。
相続する土地が遠方にあり管理ができない
核家族化が進んでいる今では、実家から遠く離れた場所に暮らしている方が増えています。
そのため、相続によって実家または実家周辺の土地を相続しても管理・維持が困難な状況になるでしょう。
相続した土地の多くは草刈りなどの管理が必要で、定期的な固定資産税の支払いも求められます。つまり、活用予定のない土地を管理するにあたって、多くの労力と費用が必要になってくるのです。
土地の売却が困難
管理・維持ができない土地は売却するという選択もありますが、財産価値のない土地を相続した場合は、買い手がなかなか見つからないものです。
特に田舎の土地や山林は買い手が付きにくいでしょう。また、便利な立地だからと言って、必ずしも売却に成功するとは限りません。売却を前提とした土地の相続では、本当に該当の土地が売却できるのかを十分確認するべきでしょう。
相続財産である土地の他の相続人と関わりたくない
一つの土地を他の相続人と相続する場合に、相続人同士の関わりを避けたいという考えから、相続放棄を選択する方もいます。
相続放棄をしてしまえば、土地の管理や維持についての話し合いに、時間を割かれなくなるのです。
土地の相続放棄後の管理責任とは?
土地などの不動産を、負債と同じように相続放棄することはできます。ここでは、相続放棄した土地の管理責任はどうなるのかについて説明しましょう。
不動産の管理義務は相続放棄をしても相続人に残る
土地などの不動産を相続放棄すると、その不動産の固定資産税を支払わなくて良くなります。しかし残念ながら、該当の土地の名義人が変わらない限り、相続放棄した土地の管理義務は相続人に残るのです。
この管理義務は、引き継ぎ先や別の誰かが相続をしない限り失われません。例えば相続放棄した土地の雑草が増え続けて周囲の景観を損なっている場合、その責任は管理者である相続人に問われる可能性があります。
相続放棄以外の方法で土地を相続しない方法とは?
ここでは、相続放棄以外の方法で土地を相続しない方法について見ていきましょう。
国・自治体に土地を寄付する
国や自治体に相続したくない土地を寄付する方法です。ただし、利用目的のない土地を国や自治体が引き取る可能性は低く、特に無償引き取りを行ってくれる事例は、限られていると言えるでしょう。国や自治体も、利用用途のない土地を簡単に引き受けることはないのです。
個人に土地を寄付する
国や自治体ではなく、個人に土地を寄付するという方法もあります。寄付を受け取ってくれる可能性が高いのは、該当の土地と隣接した土地を所有している方です。
もともと所有していた土地の周辺の土地を受け取れば、管理・活用がしやすいでしょう。
ただし、個人間の不動産の受け渡しには贈与税がかかります。
土地の相続放棄をする時の注意点とは?
土地の相続放棄をする際に、知っておくべき注意点を知っておきましょう。
相続とみなされる行為を行ってはいけない
相続放棄を検討しているのなら、「相続とみなされる行為」を行ってはいけません。些細なことでも自分の行った行動によって、相続放棄自体が認められなくなってしまう恐れがあるのです。
相続とみなされる可能性のある行為の例は下記の通りです。
・被相続人の未払い給与や死亡退職金の受け取り
・被相続人の携帯電話の解約・名義変更
・被相続人の銀行口座からの現金引き出し
・被相続人の私物の売却・処分
特に被相続人と同居していた場合には、被相続人の持ち物である家財などを勝手に処分しないように注意してください。
まとめ:土地の相続放棄をするとその土地はどうなる?
いかがでしたか?土地の相続放棄をするとその土地の固定資産税の支払い義務は無くなりますが、引き取り手が見つかるまでの管理義務が相続人に残ります。
そのため、相続放棄をしたからと言って、該当の土地と一切関わりがない状態になることは、土地が誰かに引き継がれない限りは難しいと言えるでしょう。
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