
遺産増続は、基本的に法定相続人に対して行われます。
法定相続人とは、配偶者、子どもであることが一般的で、財産の半分を配偶者が相続し、残りは子どもに均等に分配されます。
子どもが亡くなっている場合、その子どもに子ども、つまり孫がいれば孫が代わりに相続可能です。配偶者も子供もいない場合は、親が相続し、親も亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続します。
相続に不安がある、専門家へ相談したいという方はこちらの記事が参考になります。
相続の相談はどこにする?弁護士・税理士・司法書士の正しい選び方
長男の嫁と遺産相続
ここで問題になるのは、長男の嫁など、この相続人に含まれないものの、家業や介護などの貢献を行ったにもかかわらず、相続権がない人たちです。
貢献によって寄与分請求できる場合もありますが、それが認められていたのは、親族のみです。
一般的に介護などで手伝うことの多い長男の妻の貢献によって長男の相続分が増えることはありましたが、長男の妻に認められるわけではなく、長男が亡くなっている場合はなんの相続権もないのが従来の制度でした。
法改正により相続が可能に
2019年7月、民法の相続規定が40年ぶりに改訂され、相続人以外の親族にも遺産の相続が可能になりました。
とはいっても、一定の割合での法定相続が行われるわけではなく、寄与分の金額を請求できる、金銭請求権が認められるようになったということです。
この請求は寄与した人であれば誰でもできるというわけではなく、条件があります。
被相続人の6親等以内の血族または、3親等以内の血族の配偶者などの親族で、相続放棄を行った人や、何らかの理由で相続権を失った人も除外されます。親交が深くてよく手伝いをしていた友達や、ヘルパーさんなどには請求権が発生しないので注意しましょう。
まとめ
相続権がない場合でも、一定以内の親族であれば寄与に応じた請求ができるということで、長年義両親の介護などを担った長男の嫁が何の見返りもない、ということは避けられるようになりました。
しかし、これはあくまで請求権が認められたということであり、黙っていても遺産がもらえるものではありません。また、金額も決まっていないので、他の相続人と協議をして決めることになります。
協議がまとまらない場合は家庭裁判所での審判となりますが、これは請求する人が相続人の死亡を知ってから6ヵ月、知らなくても死亡から1年以内に申し立てる必要があり、その間に親族内での協議を行うとなると、決して余裕のある期間とは言えません。
また、自分で請求することが必要となると、親族間の揉め事を避けるために請求をためらうケースが予想されるなど、難しい点も残る改正です。
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