突然親族が亡くなった時には、葬儀・法要などに追われますが、相続手続きも進めなくてはいけません。葬儀場・銀行・市役所・病院などとやり取りをしながら相続手続きを進めるのは、多くの方にとって簡単なことではないでしょう。
このような相続手続きを無視・放置してしまうと、どうなるのでしょうか?この記事では、「相続手続きを何もしないままにした時に、どのような問題が発生するのか」を解説していきます。
相続に不安がある、専門家へ相談したいという方はこちらの記事が参考になります。
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相続手続きを無視・放置した時にペナルティはある?
現段階では相続手続きを何もせずに放置した場合でも、何らかのペナルティが相続人に課されることはありません。相続手続きをしなかったからと言って遺産が減少してしまったり、国に取り上げられたりするような罰則は存在しないのです。
相続手続きを無視・放置するリスクとは?
相続手続きを無視・放置することにペナルティはないものの、相続手続きを放置したまま時間が経過すると、次のような問題が起こり得ます。
共同相続人が亡くなる可能性がある
共同相続人の中に高齢の方がいる場合は、相続手続きが遅くなるほど、共同相続人が亡くなってしまう可能性が高くなります。
また、共同相続人の中に認知症を発症してしまう方もいるでしょう。共同相続人の了承が得られない相続は、通常の相続よりもスムーズに進められなくなるのです。
不動産の相続では権利を失う恐れがある
不動産の相続が発生した時に、登記をせずに放置をしていると第三者が登記をしてしまい、該当不動産の権利を主張できなくなります。
また、相続登記をしないまま所有者が死亡した場合には、次の世代の相続人は二世代分の相続登記を行う必要があり、多くの手間がかかります。
不動産の相続登記を放置するとペナルティが課されるようになる
2022年段階では不動産の相続登記は義務化されていませんが、2024年を目処に相続登記が義務化されることが決まっています。
法律施行後は、相続から3年以内に相続登記を行わない場合、過料の制裁が適用されるのです。
放置した不動産が「特定空き家」に指定されると固定資産税が高額になる
相続した建物を放置して管理せずにいると、建物が「特定空き家」に指定される可能性があります。「特定空き家」は建物周辺の環境の悪化・建物周辺に与える危険が懸念される不動産のことで、固定資産税が高額になるのです。
預金の権利が奪われる・払い戻しができなくなる可能性がある
預金として遺産を相続した際には、被相続人から相続人に講座の名義変更を行うか解約・払い戻しを選択する必要があります。
何の手続きもしないまま10年が経過すると「休眠預金等活用法」によって、口座が休眠口座扱いになります。休眠口座扱いの預金は、公益活動に使われてしまう恐れがあるのです。
さらに、長期に渡って取り扱いのない口座は、法的な払い戻し請求権が失われる可能性も考えられます。
借金を相続してしまう恐れがある
相続ではプラスの遺産だけではなく、マイナスの遺産である借金も相続人に引き継がれます。
被相続人がキャッシング・ローン・未払い家賃・健康保険料・滞納税などを抱えたまま亡くなった場合には、これらの負債も相続人に相続されるのです。
プラスの遺産よりもマイナスの遺産が多い時には、相続放棄を検討するべきですが、相続放棄の申告は「相続の開始を知ってから3ヶ月以内」と期限が定められています。
つまり、相続手続きを無視・放置して何年も経過してしまうと、気づかないうちに負債を相続してしまう恐れがあるということです。
相続税が滞納状態になる
相続する遺産が相続税の基礎控除額以上の場合には、相続税を申告・納付しなくてはいけません。相続手続きを放置すると、相続税に延滞税や不申告加算税などがかかってしまう可能性があるでしょう。
相続税の申告・納付は相続開始後10ヶ月以内という期限が設けられています。期限を過ぎた場合は、税額が本来支払う相続税よりも多くなるということです。
まとめ:相続手続きを無視・放置するとどうなってしまう?
いかがでしたか?相続手続きを無視・放置すると、
・共同相続人が亡くなってしまう・認知症になってしまう
・不動産の相続では権利を失う恐れがある・次の世代に迷惑がかかる
・不動産の相続登記を放置すると2024年からペナルティが課されるようになる
・放置した不動産が「特定空き家」に指定されると固定資産税が高額になる
・預金の権利が奪われる・払い戻しができなくなる可能性がある
・被相続人の借金を相続してしまう場合がある
・相続税が滞納状態になる
のような問題につながる恐れがあります。
現段階では相続手続きの無視・放置にペナルティはありませんが、上記のようなリスクが存在することを知っておくべきでしょう。そのため、相続手続きは相続発生後、速やかに進めるべきなのです。
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